他人のために命をすてた宣教師(2023年秋号)
洞爺丸の沈没事故
1954年9月26日18時30分頃、函館と青森を結ぶ連絡船「洞爺丸(とうやまる)」が約1,300人を乗せ、台風15号の接近する中で函館港を出航しました。船は約4時間後の22時45分に沈没し、死者・行方不明者合わせて1,155人におよぶ、日本海難史上最悪の事故となってしまいました。
この船に、カナダ人のアルフレッド・ストーン宣教師(52歳)とアメリカ人のディーン・リーパー宣教師(33歳)が乗っていました。
だれもが死の恐怖に襲われ絶望する中、2人は泣き叫ぶ乗客を励まし、救命胴衣を着用するのを助けました。最後に救命胴衣の足りないことがわかると、自分たちの救命胴衣まで若者と子どもに与えてしまいました。
後日、救命胴衣のない二人の宣教師の遺体が発見されました。また台風の荒波の中では、ほとんどの人が救命胴衣を着ていても助かりませんでしたが、彼らの救命胴衣をもらった若者と子どもは奇跡的に助かりました。助かった人々によると、宣教師は「あなたは死んでも天国に行けますか?」と問いかけた後、自分たちの救命胴衣を渡してくれたとのことでした。
2人の宣教師はキリストを信じていました。その結果、死の恐怖に打ち勝つ救いと希望を持っていたので、このようなことができたのです。では、彼らは何を信じていたのでしょうか?
①神のご存在
「はじめに神が天と地を創造された。」(創世記1章1節)
この世界には驚くべきデザインや仕組みがあります。それら全ては、創造主である神によって造られました。人間の住む家ですら、色々な仕組みと技術で成り立っており、それらが偶然に完成することは有り得ないのですから、それ以上に大きな知恵と力、法則に満ちているこの世界が偶然に生まれるはずがないのです。
②地獄の実在
「いのちの書に記されていない者はみな、火の池に投げ込まれた。」 (黙示録20章15節)
神が本当にご存在される以上、神のおられる天国は本当に存在します。そして、神が罪を裁く場所である地獄も本当に存在します。神は罪をお裁きになる義なる方であって、ひとつの罪も見逃されることはありません。
③人間の死後に待ち受けていること
「義人はいない。一人もいない」(ローマ3章10節)
「人間には、一度死ぬことと死後にさばきを受けることが定まっている」(へブル9章27節)
完全に正しい神の前では全人類が有罪です。罪を犯さない人間は誰もいません。人はみな例外なく、死後に神によって裁かれて永遠の地獄へ行くべき罪人なのです。
④唯一の救い主キリスト
「神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに世を愛された。それは御子を信じる者が、一人として滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。」 (ヨハネ3章16節)
神の御子であるイエス・キリストが、今から2,000年前に処女マリアを通して人としてこの世に生まれて下さいました。そして公生涯の最後に私たち罪人の身代わりとなって十字架で死なれたのです。ご自分の命を犠牲にして、全人類の身代わりとなられ、罪の刑罰を受けて下さったのです。そして死後3日目に死の力を打ち破られて復活されました。この御方は、ご自分の復活によって、ご自身が神であることと、罪人のための救いが完成したことを証明されました。
ですから、誰でも神の前で自分の罪を認めてキリストを自分の救い主として信じ受け入れるのならば、直ちに全ての罪が赦されて、永遠のいのちが与えられます。キリストを信じた人は、決して地獄に行くことはなく、確実に永遠の天国に入ることができるのです。
あの宣教師達もイエス・キリストによって罪の赦しを得ていた者達のひとりでした。彼らは、人間の作った救命胴衣を手放しましたが、彼らには、神の救命具があったのです。イエス・キリストを信じ、永遠のいのちを手に入れていたのです。永遠のいのちを持っている者は、たとえ体が死んでも、死の大波を乗り越えて確実に天国に迎えられるのです。彼らは自分たちが天国に行けることを確信していたので、死を前にしても平安であり、見ず知らずの他人を救うために命を投げ出すことができたのです。
あなたは死の大波を乗り越えることができますか?
洞爺丸に乗船していた、1等客室の人も、2等客室や、3等客室の人も、みな等しく嵐に飲み込まれたように、身分の違いや貧富の差に関係なく、すべての人が死の大波に飲み込まれる時が来ます。あなたは、この非常に大きな「死」という大波を乗り越えるための救命具をお持ちでしょうか?
多くの人が、お金、教育や知識、資格や技術、宗教などを人生の救命具にしています。確かにそれらの救命具で、人生の様々な試練の波を乗り切ることができるかもしれません。しかし最後に待っている死の大波の前では、そのような救命具は全くの無力なのです。
もしもあなたが神を認めず、死後の永遠を無視して地上だけの幸せを求めておられるなら、やがて死の大波があなたからすべてを奪うことになるのです。どうか全てを失う前に、これまでの神に対する態度を改めて、イエス・キリストを信じて下さい。この御方を信じるなら、死に打ち勝つ命が与えられ、あなたも永遠の天国に入ることができます。
神の御子の尊い犠牲によって備えられた救いを、どうか心を開いて受け取って下さい。