教会新聞

死の恐怖(2021年秋号)

恵みによって 死の恐怖

※2014年冬号のリニューアル版です。今号の公開に伴い、旧版の公開は終了しました。

始皇帝が恐れたもの

秦の始皇帝をご存知でしょうか。有名な万里の長城を築いた人であり、紀元前221年に史上初めての中国統一を達成し、中国史上初めての皇帝となった人物です。彼は、若干13歳で秦の王となり、破竹の勢いで戦国六国を滅ぼして天下を統一しました。こうして、絶大な権力を手に入れ、名声を欲しいままにした始皇帝ですが、最後まで彼を恐れさせたものがありました。それは、死です。

始皇帝は、中国統一を果たした頃から死を恐れ、不老不死の薬を求めて部下たちに無理難題を押し付けていたと言われています。もちろん、不老不死の薬など無く、無謀な命令を受けた部下たちは、水銀(猛毒)で丸薬を作り、それを不老不死の薬と信じて飲んだ始皇帝は健康を害し、死期を早めてしまったと言われています。百戦錬磨の始皇帝でさえ、自分の死を恐れていたのです。そして、最後まで死の恐怖から解放されることはなかったのです。

なぜ死を恐れるのか?

死に対する恐怖は、すべての人間に共通して言えることではないでしょうか? しばしば、マンションの部屋や駐車場に「4」や「9」のつく番号が欠けているのを目にすることがありますが、それは「死」や「苦しみ」を人々に連想させるものなので、「何か死に至る不吉なことが起こるのではないか。」という恐怖心を抱く人々に配慮したものです。また、人生における様々な不安も「病気が治らなければ、死んでしまう。」「仕事が見つからなかったら、食べていけない(つまり死んでしまう)。」という死に対する恐怖から出てくるものです。

では、なぜ人間は死を恐れるのでしょうか? ある人たちが考えているように、死んでしまえば「消えてなくなる」とか「生まれ変われる」のであるならば、死はそれほど怖いものではないはずです。まして、「良いところ」に行けるのであれば、喜んでも良いはずです。つまり、人間が死を恐れるのは、良心に罪の意識があるため、本能的に死後に罪のさばきを受ける「苦しみの場所」があると知っているからなのです。

さばき主の存在

聖書の中には「人間には、一度死ぬことと、死後にさばきを受けることが定まっている」(へブル人への手紙927節)というみことばがあります。聖書は、はっきりと人間の死後にさばきがあると宣言しています。そして人間の行いを見ておられ、正しくさばく聖なる方がおられることを語っています。その方こそ、天地万物をお造りになった神なのです。

神がご存在されることは、この世界を見れば明らかです。複雑な仕組みを持った動植物や人間の体が偶然にできるはずがありません。この自然界は、人間よりはるかに優れた知恵と力を持った神がご存在されることをあかししています。私たち人間は、この神によって造られ、生かされているのです。

罪人の結末

私たち人間は、死後この神の前に立たされて、さばきを受けるのです。

「また私は、死んだ人々が、大きい者も、小さい者も(神が座っておられる)御座の前に立っているのを見た。そして、数々の書物が開かれた。・・・死んだ人々は、これらの書物に書き記されているところに従って、自分の行いに応じてさばかれた。」(ヨハネの黙示録2012節)

みなさんは、神の御前において、「私にはさばかれるような罪はない。生涯潔白でした。」と言えるでしょうか? 神は人間のすべての行いをご存知であり、心の中の悪い考えをも知っておられるのです。その上で、神は「義人はいない。ひとりもいない。」(ローマ310節)と語っておられます。 そして罪人に対する罪の刑罰は、永遠の火の池に投げ込まれるという恐ろしい刑罰です。

「また、別の一つの書物も開かれたが、それは、いのちの書であった。・・・いのちの書に名のしるされていない者はみな、この火の池に投げ込まれた。」(ヨハネの黙示録201215節)

ですから、この死後のさばきから救われない限り、人間は死の恐怖から解放されないのです。

死の恐怖からの解放

「そこで、子たちはみな血と肉とを持っているので、主(イエス・キリスト)もまた同じように、これらのもの(肉体)をお持ちになりました。これは、その死によって、悪魔という、死の力を持つ者を滅ぼし、一生涯死の恐怖につながれて奴隷となっていた人々を解放してくださるためでした。」(へブル人への手紙21415節)

そこで、人間を愛しておられる神は、人間を死の恐怖から解放するために、救い主をお与えになってくださいました。その救い主こそイエス・キリストなのです。イエス・キリストは、今から約2,000年前にこの世に人としてお生まれになってくださいました。そのご降誕の目的は、全人類の身代わりとなって罪のための刑罰をお受けになるためであったのです。そのためにキリストは十字架に架かって死なれました。キリストは死後、3日目に葬られた墓よりよみがえられました。誰でもそのキリストを救い主として信じる人は、罪の赦しと永遠のいのちが神より与えられ、死後に恐ろしいさばきの場所に行くことなく、神の御国である天に入る人とされるのです。

「御子を信じる者はさばかれない。・・・御子を信じる者は永遠のいのちを持つ」(ヨハネの福音書31836節)とは、神の約束です。イエス・キリストを信じるならば、必ず死後のさばきから救われ、天に入ることができます。キリストを信じた人にとって、死はもはや恐怖ではありません。むしろ天に入る入り口と変えられているのです。どうか、みなさんもキリストを信じて、死の恐怖からの解放を得てくださいますように、心からお勧めいたします。

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